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千代田区神田大手町の司法書士が役に立つ話から笑い話まで☆

神田、大手町の司法書士MY法務事務所の代表が日常生活で役に立つ知識から笑える話まで気ままに綴るブログです。肩ひじ張らずに読んでってください♪

No.5 「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」の番宣ではありません(笑)

前にも書きましたが、私は月曜9時放送の「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」、(いわゆる「いつ恋」ですね。)を見ているんですが、たまたまこんな記事を見つけちゃいました。

news.yahoo.co.jp

ドラマの中で主人公が勤務している介護施設の労働環境の描写につき、環境の悪さや給与の安さなどが過度に強調されているとして、日本介護福祉士会がフジテレビの番組制作責任者にあてて意見書を送付したとのことです。リンク先で意見書(PDF)が読めますが、概ねの趣旨は、「あまり介護業界の労働環境の悪さが強調されると、人材確保に悪影響だから考慮してください。」といったところでしょうか。

意見書には、この番組を見た視聴者が日本介護福祉士会に対して、『フジテレビの「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」という番組で主人公が老人施設で過酷な労働環境(24時間勤務)、労働条件(月収14万円)の下で勤務し上司やオーナーからハラスメントまがいの仕打ちをされているというものが放送されていました。実際、世間では3K、4Kと言われ労働環境や条件は過酷なもののようですが、本当にあのような環境の下で皆さんは職務を行っているのでしょうか。そうであれば身内が目指している介護の資格取得をやめさせようと思っているのですが。』というメールが届いたことも書かれていました。実際、私も以前の記事で書いたように「ブラックだな~。」と思いながら見ていたわけですから、身内に介護業界に就職しようとしている人がいたら日本介護福祉士会に問合せる人がいるのもわかります。

前回、触れたときの記事はこちら↓

myjimusyo.hatenablog.com

これに対して、日本介護福祉士会は賃金については、雇用形態・能力・経験・どのような事業所に勤務しているかにより違いがあるとしながらも、それなりに報酬を得ている介護福祉士はたくさんいるとし、労働環境については、多くの事業所が働きやすい環境や職員の教育について真剣に取り組んでいると思われるが、そうでないところもあることを認め、入職する際も事業所の内容や職員の処遇、労働環境などをよく確認して頂きたいとの趣旨の返事をしたとのことです。介護業界の人手不足は以前から指摘され続けていますから、日本介護福祉士会が人材確保に躍起になるのもわかります。

雇用形態や能力などが賃金に影響し、事業所により労働環境が異なるのは、どの業界であっても同じことであり、言うまでもないことですから、フジテレビと日本介護福祉士会のどちらの肩を持つということもないのですが、「いつ恋」ファンの私としては、ちょっと気になって調べてみました。決して番宣してるわけではないですよ(笑)

そのデータ「介護人材の確保について」はこちら↓

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000075028.pdf

このデータによると、離職率や賃金について次のことは言えそうです。

離職率については、他産業の平均に比べて介護業界が格段に高いということはない(P.13)。
②賃金については、他産業に比べて介護業界が低い。特に男性においてその差が顕著である(P.7)。

ちょっと気になったのは、②の賃金について男性では他産業平均との差が約90万円もあること。女性のそれは約23万円であるのと比べると目につきます。前述のドラマ視聴者から日本介護福祉士会に送られたメールの返信内に、「厚生労働省の発表している調査では、他産業の平均給与と比較すると介護職の賃金は低いと出ていますが、女性ではあまり差がないとも言われています。」とあるのも納得です。ただし、労働者の性別割合のデータをよく見ると、介護職員では女性が73.0%、訪問介護員では女性が88.6%と圧倒的に女性が多くなっています(P.3)。

これを見て、

・「大部分を女性が占めてるってことは賃金の格差はそんなに問題じゃないのでは?」
と見るのか、
・「男性の場合、そもそも他産業との間に賃金格差があることが介護業界に入ってこない原因になっているんじゃないのか?」と見るのか、
・「女性に格差がないというより、他産業での女性の賃金が安く抑えられてきたことの現れじゃないのか?」と見るのか、

で受取り方は様々だと思います。皆さんはどうですか?ちなみにこのデータでは、「過去働いていた職場を辞めた理由」も調査されていて、

1位 結婚、出産・育児
2位 法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった
3位 職場の人間関係に問題があった
4位 収入が少なかった
5位 心身の不調(腰痛を除く)、高齢
6位 労働時間・休日・勤務体制があわなかった
(以下、省略)

となっています(P.20)。意外にも賃金や労働時間は離職理由のTOP3には入ってないんです。1位は女性が多いことが原因かなというところですが、2位及び3位については一般的によくある理由だと思いませんか?そして、現在の職場を選択した理由の調査では、「やりたい職種・仕事内容(である)」というのが1位になっていますから(P.19)、就業当初はやる気に燃えて介護業界に飛び込んだ人が多いということなんでしょうか。介護業界は今後も需要が増加するということは衆知の事実ですから、意欲に燃えて飛び込んだ方には是非、頑張ってほしいところです。

さて、ここまで見てくると、報道されているほどブラックな業界ではないのかもしれないとの印象も受けるくらいなのですが、実は、こんなデータもあります。介護職員の離職率にはバラツキがあって、「離職率10%未満の事業所が約半数である一方、離職率が30%以上と著しく高い事業所も約2割存在する。」というのです。(P.21)これだけ高い離職率になるということは、その事業者に何らかの原因がある可能性が高いと思われます。それこそ「いつ恋」に出てくる事業者のような!?せっかく誠実な運営をしている事業者が大勢いるのに、一部の事業者が介護業界の評判を大きく下げ、人材確保の妨げになっているのでしょうね。

日本介護福祉士会がメールを送った視聴者に返信したように、「入職する際も事業所の内容や 職員の処遇、労働環境などをよく確認して頂きたいと思います。」 という点には私も同意見です。とは言っても、入ってみないと実際のところはわからないというケースも多いもの。もしも就職した後に、長時間労働・サービス残業パワハラといった問題があることがわかった場合は、泣き寝入りせずに専門家に相談することをおすすめします。

余談ですが、私が親しくさせていただいている事業者の方は、常に入所者のことを考え、多くの課題に対してよりよい手だてを模索し続けています。もちろん楽な仕事ではないのですが、そこで働いている方もやりがいを感じて日々励んでいて、「いつ恋」の主人公やその友達も、ここに就職していればなぁなんて思うのです(笑)。

「いつ恋」のファンということもあって、今回はデータの面から介護業界の労務に関する問題を見てみました。それではまた☆
弊所のホームページ「未払賃金・残業代請求」も覗いてみてくださいね。 

www.myshiho.jp