読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

千代田区神田大手町の司法書士が役に立つ話から笑い話まで☆

神田、大手町の司法書士MY法務事務所の代表が日常生活で役に立つ知識から笑える話まで気ままに綴るブログです。肩ひじ張らずに読んでってください♪

No.6 成年後見人による横領 一部の不届き者のせいで…。

昨日、成年後見センター・リーガルサポートの研修に行ってきました。主に倫理面に関する内容だったのですが、ここ最近(と言っても数年前からですが)、問題になっている成年後見人による横領と防止対策についての内容がほとんどでした。身内の恥を晒すようですが、今日はこれについて書いてみます。

ちなみにリーガル・サポートは1999年12月に司法書士により設立された組織で、主に成年後見制度の普及・推進活動を行っています。

公益社団法人成年後見センター リーガルサポートのホームページはこちら

www.legal-support.or.jp


成年後見人は本人(成年被後見人)の財産管理権を持つことになりますが、残念ながらそれをいいことに本人の財産を我が物にしてしまうケースがあるということです。もちろんこれはれっきとした犯罪です。昨日の研修の内容は、ほぼ、このような事件の発生を防ぐための対策についてのものでした。今日は公開できる範囲で述べてみます。

ちなみに最高裁判所事務総局家庭局が発表している「成年後見関係事件の概況」(下記リンク)によると、成年後見人として選任される者の内、約35%が本人の親族であり、残る約65%は弁護士・司法書士社会福祉士などの専門職後見人が占めています。(P.9)

www.dropbox.com


実は近年、専門職後見人の割合が増えてきています。その理由の1つには、仮に親族を後見人候補者として申立てた場合、後見人候補者は家庭裁判所において面接を受けることになるのですが、その回答や態度次第では家庭裁判所はその後見人候補者ではなく、専門職後見人を選任します。その割合が、従来に比べて増えているということがあります。この背景には、成年後見人は家庭裁判所の監督の下でその任務を行うこため、要求される任務及び業務が多くて親族後見人には負担が大きいことや、親族後見人による財産管理が適切に行われない場合が多いことが挙げられています。つまり、家庭裁判所が専門職後見人を増やしているのは、専門職の知識と倫理をもって適切に後見人の業務を行ってほしいという願いの現れと言えます。にも関わらず、専門職後見人の中に、本人の財産を横領する者がいるということで、その対策が急務となっているということです。


ではなぜ、そのような犯行に及ぶのか?という点ですが、調査によると、最初は軽い気持ちで…というケースが多いようです。「一時、借りて後で戻すつもりだった。」、「少額だからすぐ戻せば問題ない。」とお金を抜いたものの、遊興費やギャンブルなどに使いこんで返せなくなってしまい、何回か繰り返すうちに感覚がマヒし、金額も大きくなっていったようです。

さて、ここで察しの良い方はお気付きかもしれませんが、

家庭裁判所成年後見人を監督してるんじゃないの?そんなことしたってすぐバレるでしょ?

ってこと。でも結論から言うとなかなかバレなかったんです。専門職の知識を悪用して誤魔化していたから。長期に渡り家庭裁判所への定期の報告もくぐり抜けていたんです。発覚したケースの中には、何らかの理由で怪しいと察知され、司法書士会やリーガルサポートの調査で発覚したものもありますが(それでも数年間発覚しなかった。)、本人が死亡したことで誤魔化せなくなって発覚したものもあるんです。本人が死亡した場合は財産を相続人に引き継がないといけません。いくら書類を誤魔化そうとも既に使い込んだ財産を渡すことは不可能なのでこうなるともう誤魔化しようがない。で、「手続き中です。」とか適当なことを言って時間を稼ぐがどうにもならない。終いには後見人から相続人への財産の引き継ぎがあまりにも遅いというので、相続人が司法書士会に問合せる→司法書士会が調査する→発覚する、というようなケース。これって現在もバレずに進行中のケースが有り得るってことでもありますが…。

知識を悪用してどのように誤魔化していたのか?具体的には多くの場合、家庭裁判所に報告する際に提出する預金通帳の写しを偽造などしていたようです。提出するのは写しなのでコピー機を通す際に手を加えていたのでしょう。実物はかなり精巧に仕上げてあったそうです。(もっと別のことに力を注げ!と思いますが。)手口をあまり詳しく書くと広まって悪用されるとマズイってのがあるので、ここはほどほどにしておきますが、要は、専門職ゆえに家庭裁判所に何を提出するのか、報告の際に何をしていればパスするのかを知っていることを利用して、その抜け道を突いたってとこでしょうね。この対策として、近々、リーガルサポートにより預金通帳の原本確認がされることになります。司法書士が後見人の場合には、通帳の偽造関係はこれで対処できるので、この点に関しては不届き者をあぶり出せるといったところでしょうか。

ただ、そもそもこういう問題ってその後見人の資質の問題というところもあるので、資質に問題のある後見人は、この先も本人の財産に手をつけるんじゃないかという危惧はあります。そして色んなことに共通することではありますが、一部の不届き者のせいで、その他大勢の真面目に取組んでいる者に迷惑がかかるのは腹立たしい。原本確認だって手間も費用もかかります。そんなの真面目にやっている者からすれば無用なものですから。誤解を恐れずに言えば、後見人の報酬は決して高くはありません。家庭裁判所の報酬付与審判により報酬が付与されるという性質上、司法書士が金額を個別に設定するということもできないのです。それでも後見人のなり手は少ない、需要は大きい、誰かがやらないといけない、ならば世の中のためにと頑張っている方が大多数であるという事実はお伝えしておきます。

現在行われている国会では、自公により成年後見人に医療行為の同意を可能にする法案を提出するとのことです。従来の成年後見制度は、財産管理面が重視されてきました。例えば、本人に手術を施す必要があるが、意思能力がないという場合、親族に同意を得るという対応がなされてきました。(現状、成年後見人には医療行為の同意権が認められていません。)それを今後は成年後見人に同意権を認める方向に舵を切るというのです。これって場合によっては本人の生命に関わる判断をすることになる訳で、ますます後見人の責任は重くなります。これからの成年後見は、排除されるべき専門職は早期に排除し、良識ある者の確保とそれによる適正な後見制度の運営が求められていくことになるでしょうね。

今日は少し固い話になってしまいました。次は柔らかい話にしないと(笑)。よかったら成年後見制度についての弊所ホームページも覗いてみてくださいね☆

www.myshiho.jp