千代田区神田大手町の司法書士が役に立つ話から笑い話まで☆

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No.24 来たる10月1日から「株主リスト」が登記申請時の添付書面になります。

来たる平成28年10月1日から、商業・法人登記の申請の際に「株主リスト」が添付書面になるというお知らせです。改正の理由としては、商業登記の真実性の担保及び法人の透明性の確保が目的と言われています。とはいえ実務上、登記を司法書士に依頼している場合には、その司法書士がお知らせするでしょうから申請の際に付け忘れるということはあまりないのでしょうが、依頼せずに法務部等の担当部署で申請しているような場合にはご注意ください。

今回の改正は、株式会社、投資法人及び特定目的会社が対象となりますが、実務上、やはりこの中では株式会社のケースが多いでしょうから、それを前提にご案内します。

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まず、どんなときに、この「株主リスト」の添付が必要となるのかというと、登記すべき事項につき、
1.株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合
2.株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合
の、いずれかにあたるときです。

あくまで登記申請の際に必要となるものであって、株主総会議事録の附属書類になる訳ではありません。つまり、例えば株主総会決議によって取締役の報酬を決定したとか、事業年度の変更をしただけの場合には、株主リストを作成することは不要だということです。

ちなみに、株主総会の決議がいわゆる書面決議(会社法第319条1項)であっても、議事録は作成することになりますが、この場合も登記申請の際には株主リストの添付を要します。

さて、それでは「株主リスト」には何を記載すればよいのか?要件は、上記の1または2のどちらにあたるかによって違います。

①上記1の株主全員の同意(種類株主全員の同意)を要する場合には、株主全員について次のⅰ~ⅳを記載することを要します。
ⅰ 株主の氏名または名称
ⅱ 住所
ⅲ 株式数(種類株式発行会社は、種類株式の種類及び数)
ⅳ 議決権数

②上記2の株主総会の決議(種類株主総会の決議)を要する場合には、株主数ベースで次のいずれか少ない方につき、ⅰ~ⅴを記載することを要します。
・議決権数で上位10名の株主
・議決権割合が2/3に達するまでの株主
ⅰ 株主の氏名または名称
ⅱ 住所
ⅲ 株式数(種類株式発行会社は、種類株式の種類及び数)
ⅳ 議決権数
ⅴ 議決権数割合

株主総会の決議の他に、種類株主総会の決議が必要となる場合には、両方の決議についての株主リストが必要となりますからご注意ください。例えば、A種類株式とB種類株式を発行している種類株式発行会社において、A種類株式のみに取得条項を付すという場合には、株主総会での特別決議の他にA種類株主全員の同意が必要となりますが、この種類株式の変更登記を申請する際には、
・上記②の要件を満たす株主リスト
・A種類株主全員についての①の株主リスト
が共に添付書面となるということです。

なお、株主リストは会社の代表者が証明する形をとるため、商号及び代表取締役の氏名を記したうえで、法務局届出印(会社実印)の押印を要します。

株主リストの書式例は、法務省のホームページからダウンロードすることができます(下記リンクよりどうぞ)。

法務省:「株主リスト」が登記の添付書面となります

最後に1点、冒頭にも書きましたが、施行は平成28年10月1日とされています。これは、この日以降に登記申請をする際には、上記改正が適用される(株主リストの添付が必要となるケースが生じる)ということです。対象となる株主総会が施行日前に行われた場合でも、登記申請が施行日以降であれば株主リストの添付を要することになりますので、ご注意くださいね。

司法書士MY法務事務所ホームページ内、「商業登記・会社設立等起業支援」のページはこちら。改正会社法についての情報もあります。覗いてみてくださいね!

www.myshiho.jp