千代田区神田大手町の司法書士が役に立つ話から笑い話まで☆

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No.27 不動産を財産分与した場合にも譲渡所得税が課税されます!

先日、三船美佳さんが元夫の高橋ジョージさんに対して財産分与の申立てを行ったとの報道がありましたよね。自宅は3億円の豪邸と言われ、今はジョージさんが1人で住んでいるとのことですが、そんなに大きい家に1人って…。持て余しちゃうのでは…。と思うのです。それはさておき、この報道を知って今回のお題の件をお伝えすることにしました。

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夫婦が離婚するときに問題となるのが財産分与。ご存知のとおり、夫婦が婚姻生活中に築いた財産を離婚に際して分けることを言います。離婚成立後にも請求は可能ですが、離婚から2年内に請求することが必要です。ちなみにこの「2年」は消滅時効ではなく、除斥期間と考えられていますので、消滅時効のように中断や停止が生じないのが原則です。この点については、詳細を検討すると難しい話になってしまうので、「財産分与は離婚から2年内に請求しないといけないんだ。」と考えておけば良いかと思います。

実際の財産分与の現場では、自宅を財産分与として引渡すことはよくあります。高橋&三船元夫妻のように豪邸でなくとも、多くの場合、自宅不動産は最も高価な財産ですからね。

さて、そこで問題となるのが譲渡所得税です。譲渡所得税は資産を譲渡したときに得る所得に対して課税され、土地建物の譲渡もその対象となります。譲渡の際に所得を得た者に課税されるため、譲渡した側に課税されることになります。

 

えっ、財産分与で不動産を譲渡したときって利益を得てるわけじゃないし、譲渡所得税はかからないんじゃないの!?

 

って考えてしまいそうなんですが、実は、この点については判例が出ていて、財産分与による不動産の譲渡も譲渡所得税の対象となるんです(+o+)

 

不動産により年々生じた利益そのものを所得として捉え、所有者の支配から外れたときにそれが実現したものとし、清算、課税しているということです。少しややこしい話ですが、財産分与を考える際には、この点にも気をはらうことが必要だと言うことですね。

ちなみに、居住用の不動産を譲渡した場合、一定の要件を満たせば、3,000万円の特別控除(譲渡益から3,000万円が控除される。)や、軽減税率の特例(長期譲渡所得の税額計算時に通常より低い税率で計算できる。)が使えますが、配偶者や親族などの特別の関係にある相手に対して譲渡するケースではこの要件を満たさなくなる点が気になるところです。

しかし、この点については、居住用財産の譲渡者から婚姻に伴う財産分与として受ける財産によって生計を維持している者は、前記の特別の関係にある相手には該当しないと考えられています。そこで、戸籍から除籍するより以前に譲渡をしていても、その後すぐに除籍しているなど、離婚による財産分与としての譲渡だと認められれば、特例の適用を受けられるとして運用されています。その他のいくつかの適用要件を満たすか否かという問題もありますから、事前に専門家に相談するのが良いでしょうね。

高橋&三船元夫妻の場合、それぞれが月に40万円ずつローンを支払っているとか、土地購入及び新居建設時に三船美佳さんの母が資金援助しているとの報道もあるので、少し複雑にはなるでしょうが、財産分与として引渡す際には、やはり譲渡所得税の検討はすることになるでしょう。

一時はおしどり夫婦と言われていましたが、「何でもないようなことが……」ってやつですかね。

それでは今回はここまで。司法書士MY法務事務所の離婚・家庭問題のページはこちらからどうぞ。

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