千代田区神田大手町の司法書士が役に立つ話から笑い話まで☆

神田、大手町の司法書士MY法務事務所の代表が日常生活で役に立つ知識から笑える話まで気ままに綴るブログです。肩ひじ張らずに読んでってください♪

No.41 銀行の商品「遺言信託」は民事信託(家族信託)とは全くの別物!その違いとは?

またまた久々の更新になってしまいました^_^; おかげさまでMY法務事務所は多くのお問合せをいただいており、大変ありがたいことです。お役に立てるって嬉しいことですね。さて、今回は下記リンクの記事を見つけたことで書こうと思い立ちました。というのも、民事信託が主業務の一つであるMY法務事務所では、「銀行でも信託ってやってますよね?あれとは違うんですか?」というご質問を受けることが多いからです。そこで、これはいい機会だってことで、ご質問についての回答に加え、あまり司法書士が言わないことも書いちゃいますよ~。

 

まずは、元記事のご紹介(マネーの達人より)。

manetatsu.com

記事が見られない場合はこちらから見ることができます。

https://megalodon.jp/2018-0809-0851-38/https://manetatsu.com:443/2018/07/134613/

 

f:id:myjimusyo:20180727030822p:plain

 

最初に言っちゃうと、銀行(金融機関)の商品「遺言信託」と、MY法務事務所で行っている「民事信託(家族信託)」は全くの別物です!!

 

※ここからは、紛らわしくなるのを避けるため、銀行の商品としての「遺言信託」を「銀行系遺言信託」と言います(正式な用語ではありませんが便宜ということで)。

 

そもそも、銀行系遺言信託でいう「信託」とは、信託法の定める法的な意味での信託ではありません。単に、「預ける、託す」といった趣旨で用いています。マネーの達人のリンク先にもあるとおり、銀行系遺言信託の業務内容は、「遺言書作成サポート、遺言書の保管、(実際に相続が開始した際の)遺言執行のサポート」です。よって、信託契約書を作成し、新たな権利関係を生み出すというものではありません。どちらかというと、司法書士が行っている遺言書作成業務と遺言執行業務を合わせたものと言うと近いでしょうね。

これに対して、「民事信託(家族信託)」は、法的な意味での信託を指しています。そして、MY法務事務所で取扱っている信託業務はこちらです。また、法的な意味での「遺言信託」とは、「遺言により信託の仕組みを設定するもの」を指しており、やはり銀行系遺言信託とは異なります。

同じ「遺言信託」という単語を用いているために紛らわしくなっているものの、(大事なことなので)もう一度言いますが、

 

銀行(金融機関)の商品「遺言信託」と、「民事信託(家族信託)」は全くの別物です!!

 

なお、「民事信託(家族信託)」がどのようなものかについての詳細・具体例は、下記リンク(弊所ホームページ)をご覧ください。

www.myshiho.jp

 

ところで、マネーの達人の記事では、以下の点を理由として、銀行系遺言信託を利用することを避けるべきとしています。

①手数料が法外に高い。
②執行に携わるチームが、決して遺言信託を専門にやっている集団ではないため、財産目録の作成ミスなどが起きる事案が数多く出ている。

今回は一歩踏み込んでこの点にも言及したいと思います。個人的な結論としては、理由も含めてこの意見に賛成です。以下、順に掘り下げて述べていきます。

①について
手数料については最低150万円からという銀行もあり、これが高いということは言うまでもありません。また、手続費用の総額を考えてみると、銀行の手数料以外に、相続税申告が必要な場合の税理士費用や相続登記が必要な場合の司法書士費用などがかかるのが一般的です。税理士業務や司法書士業務は資格を有しない者がすることはできませんから、当然ながら銀行もこれを自らなすことはできず、提携している税理士や司法書士に依頼をすることになりますから、その報酬が別途に発生します(この点は、図表を使って更に詳細に後述とします)。

②について
そもそも、遺言書を作成する場合には、将来起こる相続や二次相続をも踏まえ、かつ、法的効果を踏まえ、問題が起こる可能性がないかを検討することが必要です。これをなすには専門的知識と経験が必要です。銀行員は金融のプロではありますが、法律のプロではありません。ことに、遺言書作成に関する相談相手としてはどうでしょうか?やはり、ミスが起こるときもあるでしょうね。しかも、遺言書が効果を発揮する場面では遺言者は既に亡くなっていますから、作成した遺言書で本当に希望するとおりの相続が実現されるかを遺言者自身が確認できない点も不安ですね。

記事にもありますが、銀行系遺言信託の執行キャンセルは実際に起こっており、私もキャンセル後の相続登記を受任した経験があります。相続人の方が、「なんでこんなにバカみたいに高い手数料払わないといけないんだ!」とご立腹でした。

ちなみにその遺言、法定相続人のみが遺産を承継する内容であるにも関わらず、「相続させる」ではなく、「遺贈する」との文言を用いていたため、相続登記の際に余計な手間と費用がかかることになりました。具体的な内容は、専門的かつ長い話になるので割愛しますが、「相続させる」であれば不動産を承継する相続人のみが申請人となれば足りるところ、「遺贈する」にしたばかりに、共同相続人全員が登記手続に参加することになったと理解していただければ結構です。専門家が遺言書作成に携わっていれば、こうはならなかったでしょう。

 

さて、それでは上記の理由①につき図表を用いての説明です。次の図表は銀行が遺言執行者として遺言執行業務を行う場合の関係者の関係性を表しています。

f:id:myjimusyo:20180807053703p:plain

 

お次は遺言執行業務をMY法務事務所にて行った場合です。(他の遺言執行業務を取扱う司法書士事務所でも同様である場合が多いとは思いますが、確実とは言えないので、「少なくともMY法務事務所では」とお考えください。)

f:id:myjimusyo:20180807054103p:plain

遺産の中に不動産が含まれているケースや、税務申告が必要なケースでは、銀行が遺言執行者である場合(上の図)には、司法書士報酬や税理士報酬が発生する他に、銀行の手数料が必要となります。例えば、銀行系遺言信託の報酬が最低額150万円の金融機関であったとすると、手続費用の総額は概算で、

銀行系遺言信託報酬150万円+税理士報酬+司法書士(登記)報酬

となります。

 

これに対して、MY法務事務所が遺言執行者である場合(下の図)です。MY法務事務所は遺言執行報酬はいただきますが、報酬額の基準は最低額25万円(税別)からですから、よほどの例外を除いて銀行のそれよりは安価となります。また、税理士報酬及び司法書士報酬は発生するものの、登記に関する司法書士報酬は遺言執行を受任している場合には割引を効かせております。なぜなら戸籍の取得など、両者で共通する作業があるからです。そうすると、手続費用の総額は概算で、

遺言書作成業務報酬+遺言執行報酬25万円+税理士報酬+司法書士(登記)報酬

となります。遺言書作成業務報酬は、多くの方が10万円程度に納まることを加味するとその差はかなりのもの…(・・;) そうなるとやっぱり個人的には、マネーの達人の記事に賛成の立場になっちゃうんですよね。

 

で、こういうことを書くと何だか宣伝みたいになっちゃうんでアレなんですが(多少はあるんですけどね(笑))、実は銀行系遺言信託の報酬の高さは以前から気になってたんです。それに、わかっていても、こういうことを記事にする司法書士も少ないんですよね。というのも、金融機関を営業相手と捉えている(例えば、住宅ローンに係る抵当権設定登記を担当する指定が欲しいなど。)司法書士も多いため、金融機関の商品を批判するようなことはし辛いのです。私はズバリ言っちゃうほうだから…ね(笑)

なので、もし、遺言作成や遺言執行者指定などお考えの方は、依頼先を検討する際に、今回の記事の内容を知ったうえで決めてください。その受任先がMY法務事務所ではなく、他の司法書士事務所であってもいいと思います。相続対策は重要なことですから、業務のクオリティと費用をしっかりと検討したうえで最適な相続対策をしてください。

 

それでは今回はここまで。ぶっちゃけ話もありましたが、いかがでしたか?ぶっちゃけ過ぎて依頼が減っちゃうのがやや心配…。だ…大丈夫です…よね??(汗)

相続、民事信託(家族信託)のことならお任せのMY法務事務所ホームページは、下記リンクよりご覧ください☆

www.myshiho.jp