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No.32 法定相続情報証明制度が平成29年5月29日からスタート!!

随分、久しぶりの更新となってしまいました。おかげさまで忙しくさせていただいております。ご依頼やご相談をいただいている皆様、ありがとうございます。さて、今回の更新ですが、以前、当ブログでも取り上げた「法定相続情報証明制度」がいよいよ約3週間後にスタート!!うまく利用すれば今までより便利になりますよ!ということで、今回はその内容が明らかになった法定相続情報証明制度についてご案内します。

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ちなみに、下記リンク先(法務省H.P)から制度案内のPDFをダウンロードすることができます。

法務省:「法定相続情報証明制度」が始まります!

当ブログ関連記事は下記リンク先よりどうぞ

myjimusyo.hatenablog.com

さて、この制度、結局何をするのか?簡単に言うと、相続手続をするにあたり必要となる相続関係の証明に用いることができる、「法定相続情報一覧図の写し」の交付を受けるものです。

そして、この交付を受けると何がメリットなのか?というと、不動産登記のみならず各種(金融機関での預金払戻しなど)の相続手続において、相続関係を証する資料として利用できる(戸籍謄本等を都度提出することが不要となる)という点になります。

「なーんだ、そんなことか。今までどおり戸籍謄本等を提出すればいいんじゃないの?」となりそうですが、実は手間の面でも費用の面でも恩恵があるのです。例えば被相続人が多くの金融機関に預貯金を有していた場合、相続手続の場面ではそれぞれの金融機関に対して戸籍謄本等を用いて相続関係を証することが必要となります。その全てが近隣の金融機関であれば良いのですが、遠方にしか店舗がないとか、その金融機関では店舗での相続手続を受け付けておらず郵送によるしかないというようなケースでは、戸籍謄本等が1部ずつしかないと各所に宛てて順番に提出するしかありません(数か所の金融機関に対して並行して手続を進めることができない)。従来、これを避けるには数通ずつ戸籍謄本等を取得するしかありませんでした。しかし、この費用は馬鹿になりません。戸籍謄本1通を取得する際の手数料は450円、除籍謄本や改正原戸籍は750円かかってしまいます。相続関係が複雑だったり転籍が多かったりすると結構な金額になってしまうのです。

労力の面でも、従来、相続関係を証する戸籍謄本等一式を各金融機関の店舗に持ち込む代わりに法定相続情報一覧図の写しを持ち込めば良くなりますから、持ち込む側も持ち込まれる側もメリットがあります。「これっていいんじゃないの?」って思いませんか?

さて、それではこの法定相続情報一覧図の写しの交付を受けるための手続の流れについては次のとおり。
①相続関係を証する戸籍謄本等一式を収集する
ここは従来どおり、本籍地の市区町村役場からスタートして遡っていくしかありません。
②法定相続情報一覧図を作成する
被相続人及びその法定相続人の情報を記載した図面(ただし、必ずしも図面の形式でなくてもよい。)を作成します。(補足①)
③法定相続情報一覧図の写しの交付の申出をする
法務局に対して、上記①及び②を添付した申出書を提出します。(補足②及び③)
④認証文付きの法定相続情報一覧図の写しが交付される
上記③で提出した申出書及び添付資料につき、登記官による確認がなされた後、法定相続情報一覧図の写しが交付されます。併せて、提出した戸籍謄本等一式も返却されます。

(補足①)法定相続情報一覧図には、相続開始時の同順位の相続人を記載するものとされているため、1つの相続が開始した後、遺産分割協議や相続登記をする前に相続人が亡くなってしまう、いわゆる「数次相続」のケースでは、被相続人ごとに1つの申出を要します。
(補足②)法務局への持ち込みのほか、郵送での申出も可能です。
(補足③)申出先は、次のⅰ~ⅲのいずれを管轄する登記所(法務局)に対してもすることができます。
ⅰ 被相続人の本籍地または最後の住所地
ⅱ 申出人の住所地
ⅲ 被相続人を表題部所有者または所有権の登記名義人とする不動産の所在地

ちなみに、法定相続情報一覧図の写しの交付を受けるために法務局に手数料を納める必要はありません!!\(^o^)/多くの提出先がある場合には、数通まとめて交付を受けると良いですね。また、交付を受けたけど足りなくなったというような場合には、再交付の制度も用意されていますよ。

続いて、法定相続情報一覧図の写しの交付を受ける際の注意点を挙げていきます。
被相続人日本国籍を有しないケースなど、戸籍謄本等一式を申出書に添付することができない場合には、この制度を利用することはできません。
・前述の法定相続情報一覧図の写しの交付を受けるための手続の流れの③で提出された法定相続情報一覧図の原本は、法務局にて保管されることになりますが、その保存期間5年が過ぎると廃棄されます。よってその後に再交付を求めることはできません。
・代理人により、この制度を利用することはできますが、親族以外に申出人の委任を受けることができるのは、弁護士・司法書士土地家屋調査士・税理士・社会保険労務士弁理士海事代理士及び行政書士(各士業法の規定を根拠に設立される法人を含む)のみとされています。

最後に、少し気になる点を1つ挙げます。法定相続情報証明制度は不動産登記など法務局所管の手続の他に、金融機関での相続手続の際に法定相続情報一覧図の写しが利用されることも予定しています。ただし、現時点で金融機関側ではこれにつき、公式に「利用可」との広報はなされてはいないようです。ただし、需要の多い制度ですから運用が開始されればすぐに答えははっきりすると思います。

なお、弊所でも遺産承継業務など相続手続を行うにあたり、法定相続情報一覧図の写しを積極的に利用することになりますが、法定相続情報一覧図の写しの交付申出(必要な書類の収集及び作成も含む)のみの代理業務も承ってまいります。是非、お気軽にお問合せください!

相続に関する情報ならこちら。弊所H.P内「相続関連業務」のページを覗いてみてください☆
www.myshiho.jp