千代田区神田大手町の司法書士が役に立つ話から笑い話まで☆

神田、大手町の司法書士MY法務事務所の代表が日常生活で役に立つ知識から笑える話まで気ままに綴るブログです。肩ひじ張らずに読んでってください♪

No.45 補聴器の購入は慎重に(周知)&クーリング・オフ

こんにちは、村田です。随分久しぶりの更新となってしまいました。その久しぶりの更新を思いついたのはなぜかというと、補聴器購入にあたっての注意喚起が回ってきたから。どこからかっていうと、司法書士会です。東京司法書士会では、会員のみログインできるサイトが用意されていて、そこで業務に関する情報提供がなされています。今回は、冒頭の補聴器購入について周知の依頼があったため、周知活動含め、クーリング・オフの話もしてみようかなと。

 

今回は周知の依頼元が消費者庁なので、立派なリーフレットが用意されています。まずは、それを周知依頼ごとそのまま貼っちゃおうということで…。

 

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司法書士会を経由しての周知依頼はちょくちょくあるので、そんなに珍しくはないのですが、補聴器に特定してのものは見たことがなかったので、調べてみると、国民生活センターのサイト(下記リンク先参照)にて、6年ほど前には告知されていたようです。

http://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen184.html

それがあえて今回、周知依頼されたということは、被害が現在に至るまで収まってはいないということなのでしょう。このような被害に合わないための対策として、1ページ目の中程に①~④として記載されているものがあります。よくまとまっているので、周知活動としてはこれで終了でもよいのですが、せっかくなので、③について少し補足しておこうかと思います。

※①及び②については、「専門家に相談せよ」ということで、補聴器は身体機能に関わるものですから、当然のことですよね。④については、補聴器を購入検討される方は高齢の方が多いと思われますが、聴力低下が生じる年代の頃に、判断能力の低下が生じる方もいらっしゃることにも問題があると思います。中にはいわゆる「押し」に弱くなっているケースもあるため、注意が必要です。ご家族が同伴して購入検討されるのが良いのではないでしょうか。

 

③については、クーリング・オフに関する記載です。クーリング・オフというのは、法律に定めがある場合に、消費者からの一方的な解約を認める制度です。よく知られている特定商取引法のほか、保険業法宅地建物取引業法にも定めがあるのですが、補聴器に関係するのはやはり特定商取引法でしょうね。2ページ目のポイント②に記載がありますが、店舗に赴いて購入した場合には、クーリング・オフの対象になりません。また、通信販売で購入した場合にも、売買契約の申込みの撤回または解除に関する事項(いわゆる「返品特約」)として、「返品ができない」旨の表示がなされている場合には返品はできません。同様に、返品の条件が示されている場合にはそれに従うことになります。これらの表示がなされていない場合には、商品受取後8日以内であれば返品できるということになりますが、配送費は原則として消費者側の負担となります。

そもそも、クーリング・オフは、「契約後、消費者に冷静に考え直す時間を与えて、一定期間内であれば無条件で解約できるものとしよう」という趣旨から定められているものなので、じっくり購入を検討できる場合は、その対象から外されているというわけです。だから、「買った後に気に入らなければクーリング・オフすればいいや」と安易に考えるのは危険なことで、やはりじっくり検討してからの購入が大切。特に補聴器のような身体機能に関わり、日々使用するものについては…ということですね。

 

クーリング・オフについて誤解しやすいポイントについてまとめると、

 

①店舗に赴いて購入した場合には、クーリング・オフはできない。

クーリング・オフができる期間は、契約日から数えるとは限らない。法定書面(法令で定められた記載事項が盛り込まれた書面)を受領した日から数える。

 

といったところです。②の「法定書面」には、販売業者の名称や住所、商品名や数量、代金やその支払方法などの事項が記載されていることを要します。これは裏を返せば、適正な法定書面が交付されていない場合には、クーリング・オフ期間は進行しないこととです。なので、日数は過ぎていても、クーリング・オフ期間を過ぎてはいないってことも有り得ます。ちなみに法定記載事項は次のとおり。

1.商品(権利、役務)の種類
2.販売価格(役務の対価)
3.代金(対価)の支払時期、方法
4.商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
5.契約の申込みの撤回(契約の解除)に関する事項(クーリング・オフができない部分的適用除外がある場合はその旨含む。)
6.事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
7.契約の申込み又は締結を担当した者の氏名
8.契約の申込み又は締結の年月日
9.商品名、商品の商標または製造業者名
10.商品の型式
11.商品の数量
12.商品に隠れた瑕疵(一見しただけではわからない不具合)があった場合、販売業者の責任についての定めがあるときには、その内容
13.契約の解除に関する定めがあるときには、その内容
14.そのほか特約があるときには、その内容

 

クーリング・オフの要件を満たすのであれば、相手方(売主)に通知をすることになります。3ページ目にはクーリング・オフを通知する際のハガキ見本が掲載されていますが、可能であればやはり内容証明郵便の方が間違いないと思います。(ハガキの方が手軽だしって方は見本の注意書きにもあるように、コピーはとっておいたほうがベターです。)というのも、簡易書留や特定記録郵便は、その到達は証明できるものの、内容までは証明できないからです。また、クレジットカードで購入した場合には、信販会社にも別途に送付します。

参考として、「訪問販売で補聴器を20万円で購入し、代金も支払った」という場合に、内容証明郵便でクーリング・オフを通知する場合の見本を載せておきます。郵便費用はページ数にもよりますが、2000円程度みておけばよいと思います。内容証明郵便は取扱う郵便局が限られているので、事前に調べてから行くと安心です。

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補聴器に限らず、高価な品は特に、「本当に購入するべきか」を検討してから購入するのが大切ですね。一旦、家族に相談するというのは、詐欺的商法や押売被害にあわないためにも有効ですよ。

今回はここまで。MY法務事務所のホームページは下記リンクよりどうぞ。
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