千代田区神田大手町の司法書士が役に立つ話から笑い話まで☆

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NO.17 熊本の震災で権利証を紛失した場合… 法務省のお知らせを解説します!!

法務省から熊本の震災で権利証を紛失した場合についてのお知らせが出ました。今回はこれについての解説です。家が倒壊してしまった場合もそうでしょうが、腹立たしいことに火事場泥棒も出現しているようで、住人の方が避難所に避難している間に権利証を盗まれてしまうといったこともあるかもしれません。その場合、不動産の所有権を奪われてしまうことになるのか?という話。

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結論としては、権利証(登記識別情報または登記済証)を奪われたからといって不動産の所有権を奪われるというわけではありません。また、権利証を奪われたら所有権移転登記で他人名義に変えられてしまうのかという点についても、それだけで名義を変えられるわけではありません。名義を移転するには所有権の登記名義人の印鑑証明書も必要になるからです。更に言えば、何らかの手段で権利証及び所有権登記名義人の印鑑証明書を入手した者により勝手に他人の名義に変えられたとしても、やはり所有権が移転するものではありません。なぜなら、登記はあくまでも対抗要件だからです。

対抗要件とはその名のとおり、第三者に権利を対抗するための要件であり、この場合、「自分が所有権を持っているぞ。」と法的に主張できるということです。つまり、登記名義人だから所有権を有しているのではなく、所有権を有している者が第三者にその所有権を対抗できるように登記するという関係です

ですから、仮に勝手に名義を移されたような場合でも、真の所有者が裁判上でその所有権を有すること及びその所有権を侵害する登記がなされていることを証明すれば、勝手になされた所有権移転登記の抹消を命じる判決が出ることになります。そしてこの場合、真の所有者はこの判決を使って勝手になされた所有権移転登記を単独で抹消することができます。

そうは言っても、裁判をして抹消登記をするのには費用も体力も使いますからできればこのような事態は避けたいもの。だったら勝手に移転登記なんて出来ないようにしちゃおうってことで、「不正登記防止申出」という制度があります。これは申出から3か月以内に対象不動産に登記申請があった場合、申請があったことを申出者に通知するという制度です。自分は登記申請していないのに、この通知がなされれば、「勝手に登記されようとしている!」と気付くことができるという訳です。

更に、権利証が登記識別情報である場合には、「登記識別情報の失効申出」という制度もあります。これは、登記識別情報が暗証番号的な性格を持つことから、登記識別情報が盗まれたような場合に、その登記識別情報を失効(効力を無くしてしまう。)させる制度です。

いずれにしろ、権利証が登記済証または登記識別情報のどちらであっても再発行はできませんから、紛失や盗難にあった場合にはこれらの制度を利用して意図せぬ登記がなされるのを防ぐことが大切です。お困りの方は、早めに法務局または司法書士にご相談ください。

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